「境界性パーソナリティ障害」という、 まだまだ無名の精神疾患があります。 「怒りがコントロールできない」 「愛情の試し行為をする」 症状は知られるように なってきましたが、 誤解を受けやすいので 改めてチェックリストを作りました。 このチェックリストは、 DSM-5(※)を元に ・実際その病気に かかっていた私自身の経験 ・カウンセリングの現場で よく聞かれる症状 を考慮し、より分かりやすい表現を 目指して独自にまとめたものです。 (※DSM-5…アメリカの精神疾患/ 精神障害の診断・統計マニュアル) ◆チェックリストを行う前にまず、チェックリストを行う前に 必ず気をつけて欲しい 重要事項を3つお伝えします。 1.8つの項目のうち“5つ以上”チェックがつくこと ひとつふたつ当てはまっただけで「境界性パーソナリティ障害」とは言えません。 2.下記の症状は青年期・成人期早期までに始まっていること 境界性パーソナリティ障害は30代以降から突然発症するような病気ではありません。 詳しくは下記記事で解説しています。↓ 3.自己診断で決めつけないこと 境界性パーソナリティ障害は精神科医ですら誤診の多い病気です。 このチェックリストはあくまで参考資料としてご活用のうえ、 最終的な診断は信頼できる医療機関で行ってください。 ◆境界性パーソナリティ障害・8つのチェックリスト8つのうち5つ以上にチェックがつく人、 とお伝えしましたが、 経験者としてはこの1番目が 境界性パーソナリティ障害の 必須項目ではないかと考えています。 どんなに口では他人を責めていても、 最終的には他人のせいにできない。 これが境界性パーソナリティ障害の特徴です。 境界性パーソナリティ障害は 理想化と幻滅を繰り返す傾向があり、 自ら対人関係を断つ傾向があります。 また「自分なんてどうせ嫌われる」 という自己卑下が強く、 そうならないよう 周囲の人間関係を操作 しようとすることもあります。 その結果、何らかのトラブルを起こし、 「そのグループにいられなくなる」 場合もあります。 かつて当事者だった私は、 怒りに任せて ・窓ガラスを素手で割り右手を大ケガ ・せっかく賞を取った自分の絵をビリビリに破る などを起こしたことがあります。 自責の念が強いため、 “自分の損になることを起こす” 傾向が強いのですね。 相手の体を痛めつける、 相手が大事にしている物を壊すなど、 損するのが自分以外の誰かである場合、 他の精神疾患やパーソナリティ障害の 可能性が高いと考えられます。 注意:急激な気分の変化は 双極性障害でも起こります。 境界性パーソナリティ障害は 長くても数時間や1日くらいなど、 気分がコロコロ変わります。 いっぽう双極性障害は、 気分が盛り上がっている 躁(そう)状態と 正反対のうつ状態が 長期間(数週間から3ヶ月〜6ヶ月) にわたり続くと言われています。 他人の顔色を気にしたり、 他人の価値観に従う生き方をしていると、 「自分がどういう人間であるか」 わからなくなり、 いつも不安定で、他人に依存しがちになります。 ・誰にでも心が開けるわけではない ・相手を理想化しやすい この傾向が重なり、 境界性パーソナリティ障害の人は 一部の親しくなった人にだけ 怒りや暴言をぶつけるという特徴があります。 境界性パーソナリティ障害の人は 自責傾向が強く、 「いつ捨てられても仕方ないくらい劣った人間だ」 と思いやすいです。 劣った自分が捨てられないために、 尋常でない努力をするのです。 診断にあたって重要なのは、 これらの努力(行動)の動機が 「愛されるため、見捨てられないため」 であることです。 この項目が誤解を生みやすいようなので、いただいた質問に回答します。 Q.ピアスをたくさん開けていたのも自傷行為に当たりますか? A.確かに自分の体を傷つけていますが、“オシャレのため”でもあるんですよね。 「太い安全ピンを刺して無理やりピアスホールを開けようとし、痛い目にあった」 などは自傷行為に当たるかと思います。 Q.毎晩晩酌をしたり、お出かけの時もビールを飲むのは過剰飲酒に当たりますか? A.それは単なるお酒好きな人だと思います。 アルコール依存症に片足突っ込んでいるかもしれませんが。 Q.元恋人が自分と別れたあとすぐ別の人とセックスしていたが、この項目に当てはまりますか? A.残念ながら、乗り換えられてしまっただけだと思います。 境界性パーソナリティ障害は 浮き沈みの激しさが特徴ですが、 基本はいつも上図のような不安を抱えています。 ちなみにこの虚しさの中心に 「自分は周囲より素晴らしい人間だ、優秀だ」 という思いがある場合は、 自己愛性パーソナリティ障害の可能性が高いです。 ◆誤診されやすい精神疾患・障害の一覧境界性パーソナリティ障害と 似た症状が出たり、 誤診されやすい病気や障害は以下の通りです。 ・うつ病 ・演技性パーソナリティ障害 ・解離性障害 ・愛着障害 ・発達障害(ASD/ADHD) ・双極性障害 ・自己愛性パーソナリティ障害 ・妄想性(猜疑性)パーソナリティ障害 上記を二つ以上併発している こともあります。 また、実際は病気ではないのに 病気だと思い込んでしまう事もあります。 詳しくはこちら↓ 自己診断は危険です。 必ず医師に診断をお願いしてください。 ◆カウンセラーは病名診断ができません当カウンセリングに 「彼(女)はこんな症状が出るが、 境界性パーソナリティ障害ではないか」 と確認しに来られる方がおられますが、 カウンセラーは病名診断を してはいけない事になっています。 「その可能性が高いor低いかも」 くらいの個人的見解は言えますが、 診断は医師に依頼してください。 また、医師から診断も受けていないのに 「この病気に違いない」 と断定するのは 絶対におやめください。 ◆このリストは「性格の問題では」と悩む人のためのもの自分自身、この病気の ことを知る前は、 「自分は生まれつき 性格が悪いせいで こうなっているのではないか。 一生直らないのでは」 と悩んでいました。 しかし病気のことを知り、 寛解(克服)に向けて学んだお陰で、 ほぼ99%の症状が改善しました。 なので、 「自分の性格の問題では」 と悩む人たちに 「そうではない」と 気づいていただくため、 このリストを作成しました。 かつての自分と同じ悩みを 抱える方々のお役に立てたら嬉しいです。 それでは、ごきげんよう、さようなら。 ●チェックリスト作成に当たって参考にしたページ →境界性パーソナリティ障害(BPD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版 ◆境界性パーソナリティ障害関連note記事※有料・途中まで無料で読めます |