どんなに愛情を注いでも、境界性パーソナリティ障害の彼女には届かないのでしょうか?

どんなに愛情を注いでも、境界性パーソナリティ障害の彼女には届かないのでしょうか?


回答日:2021年5月4日

投稿者:K さん

以前からメンタルクリニックに双極性障害ということで通院していた妻が、先日激しい自傷行為の末こんな病気治したいと真夜中に精神科へ緊急入院しました。
そこでの診察はBPD(境界性パーソナリティ障害)の可能性が高いとのことです。
辛い体験談ばかりで気が滅入ります。
どんなに愛情を注いでも彼女には届かないのでしょうか?

カウンセラー・巴(ともえ)の回答

先日、双極性障害と
境界性パーソナリティ障害の
違いについて触れたばかりですが、
やはり誤診が起きやすい
疾患なんですかねー。
 ↓

でもそれは医師が
無能だからじゃなくて、
患者さんが
「自分の症状を説明できていない」
ことも大きく関係してるんですよね。

精神疾患って、
胸に補聴器を当てたり
血液検査をして
「この病気だ!」
ってわかる訳じゃありませんから。
というか、そういう
身体的な疾患でも
誤診は起きますしね。

自分の中にある無価値感に目を向ける

さて、
「どんなに愛情を注いでも
彼女(妻)には届かないのでしょうか?」
について。

個人的な話をさせてもらえれば、
私は弊パートナーの愛情は
最終的にめちゃくちゃ届きました。

「病気が治ったから
届くようになったんでしょ?」
とお思いの方も
いるかも知れませんが、
症状が出ている頃から
愛情は届いていましたよ。

で、「自分の与えている愛情が、
彼女に全く届いていない問題」は
考えられる原因が色々ありますが、
ここでは割愛します。

※この辺の記事がお役に立てるかもしれません!
 ↓
お金で愛情表現する人、スキンシップで愛情表現する人のすれ違い


Kさんに限らず、
「境界性パーソナリティ障害の
彼女を助けたい男性たち」から
たくさんお話を聞いてきましたが、
ここのところ毎回思うのは

「彼女の満足する愛情を注げない私」
「彼女を救うことができない私」

を無価値だとか、能力が低いとか
無意識に思っていませんか?
ということです。

たとえば私の現パートナーは
結果だけ見ると
「境界性パーソナリティ障害の
彼女を救った彼氏」
ということになりますが、

「それができる男はすごい」
「それができない自分はダメだ」

という“比較(あるいは競争)”が
生まれていないでしょうか。

私は、今のパートナーと
5年も付き合えているのは、
単純に「心の相性がいいから」
だと考えています。

だってちょっと変わり者なだけの、
ただの成人男性ですから(笑)。

彼が特別なにか
「能力が高い」から
私を救えたわけではないし、
今までの彼氏よりも
今のパートナーの方が
「能力が高い」わけでも
ありません。

別に今までの彼氏は彼氏で
良い所もあるし、
彼らに相性のいい女性も
きっといると思います。
私とは合わなかっただけです(笑)。


無価値感・無力感を癒すための頑張りが、無価値感・無力感を高めてしまう

一般的には男性の方が
「誰かの役に立ちたい欲」
が強いと言われていますが、
最近はあまり性差は
ないように感じています。

「助けたい症候群」の女性、
いっぱいいますもんねー。

男だからとか女だからとか
関係なく、
「愛する者の役に立てない
自分は無価値だ」

という悲しい思いを
子供の頃から抱えている人は
すごく多いのです。

一番多いのは、
「親の役に立てなかった」
(親の望む自分になれなかった)
という思いですね。

もちろん、親以外でも
いろんな場面で
「あの人の役に立てなかった」
という傷を抱えることはあります。

で、その思いを昇華するために
「いま、愛する恋人の役に立とう」
と過剰に思ってしまうんですね。

「愛しているから、
相手を笑顔にさせたい」
という気持ちと、
「この人の役に立てなければ、
自分は無価値だ。
無価値で無力な
人間になるのが怖い。
だから役に立つ人間にならねば」
という気持ちがくっついて
苦しんでしまうのです。

いいとこどりだけして
悪い部分を削ぎ落とせれば
いいんだけど、
脂肪と筋肉がくっつくと
脂肪が落ちにくくなる
現象と似ている気がします。

「愛情」と「執着(執念)」が
くっついてしまうから、
ずっと苦しみから
抜けられないんですね。

その状態で彼女のために
がんばってもがんばっても、
彼女には響かない
(ように見える)ので、

「無価値感や無力感を
癒したくて頑張っているのに、
やればやるほど無価値感や
無力感が高まってしまう」


という悪循環に
陥ってしまうのです。


自分と彼女の問題を切り分ける

じゃあどうすりゃいいんだ
って話ですけど、
ざっくり言うと

・彼女の問題と
自分の問題を切り分ける

・自分は無価値な人間や
無力な人間ではないことを
受け入れる

(自分の魅力を受け入れる)

・「無価値な自分はダメだ」
「人の役に立たなきゃ」
という思いがどこから来たのかを探す

・そう思うきっかけになった
心の傷を癒す


というのが必要になりますかねー。

特にまず最初にやって欲しいのは
「病気を治すか治さないかは
彼女の問題だと切り分ける」

ことです。

相談しに来られる方のほとんどが、
自分が彼女の代わりに
病気になってあげたいくらいの
勢いなんですけど、
当然そんなことはできません。

また、自分の力が足りないから
彼女の病気が治らないわけでも
ありません。

「彼女の苦しみを癒せない自分」
を責めて、悩み苦しむってことは

「それだけその人への愛情がすごい」
(ていうかそもそも愛情がめちゃ深い)
「めちゃくちゃ優しい」


ということですので、
まずはそんな自分の良さを
受け入れてあげたら
いいんじゃないでしょうか。

自分の価値を再発見するために第三者を頼る

「自分を責める」
癖がついている人は
一人でそれができなく
なっているので、
身近な人にそれを
サポートしてもらっても
いいと思います。

あ、もちろん、精神疾患の
パートナー以外の人ですよ。
友人とか、
パートナー以外の家族とか。

しかしながら
「友達にこんな話できない」
「友達や家族を頼れない、
迷惑かけたくない、
心配かけたくない」
という方が多いので、
そういう場合は
プロ(第三者)の手を
借りるのがいいです。

「精神疾患じゃないのに
心療内科なんて行きたくない」
「カウンセリングって
精神病の本人が
行くべき場所でしょ」
と思っている方が多いのですが、
「当事者の家族(パートナー)」が
行くのってけっこう
当たり前のことなんですよね。

日本も早く
「重篤な精神病(の本人)
じゃなくても、
カウンセリングへ行っていい」

っていう認識が広まったら
いいなーと思っています。

田舎なんか特に
全然ダメですからねー、
その辺の認識が(笑)。

当事者も勿論つらいですが、
一番近くにいるパートナーも
相当つらいものです。

「介護」の世界だったら、
介護されている本人も大変だけど、
介護している家族も
もちろん大変だってわかりますよね?
それと同じことです。

友人や家族(実家)などに
話せないことでも、
「第三者だからこそ話せる」
「第三者だからこそ聞ける」
ってこともありますので。

彼女を癒せる自分になりたいなら、
まずは自分自身がすでに
ボロボロだということに気づき、
そんな自分を癒すことが先決です。

今回の記事が、
何かのきっかけや参考になれば
幸いですー。
ごきげんよう、さようなら。

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※この記事のアイキャッチ画像は
いしとびさおり (Tsubaki_rokka)さんが
撮影してくださいました。
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